2026.10.02

「【解説】非上場株式の評価見直しと中小企業の事業承継」

ニュースの概要

非上場企業の経営者にとって、「自社株を次の世代にどう引き継ぐか」は重要な経営課題の一つです。

2026年10月1日、Yahoo!ニュースで、国税庁が進めている「非上場株式の評価方法」の見直しについて、中小企業庁が意見を示したことが報じられました。

非上場株式とは、証券取引所などに上場しておらず、日々の市場価格がついていない会社の株式です。中小企業の多くは非上場企業であるため、経営者が保有する自社株も非上場株式に該当するケースがあります。

こうした株式を相続や贈与によって引き継ぐ場合、株式の価値を一定のルールに基づいて評価します。その評価額は、相続税や贈与税を計算する際の基礎の一つになります。現在、国税庁では、この評価方法について有識者会議を設け、見直しの検討を進めています。2026年9月16日に開かれた第6回会合では、具体的な評価方法や試算結果などが議論されました。

今回のニュースで注目されているのは、見直しによって会社によっては自社株の評価額が大きく変わる可能性がある点です。

ただし、現時点では評価方法の見直しが確定したわけではありません。報道では「相続税が大幅に増えるのではないか」といった懸念が取り上げられていますが、すべての中小企業の株式評価が上がると決まったわけではありません。国税庁の試算でも、会社の規模などによって評価額が上昇するケースと低下するケースの両方が示されています。

また、中小企業庁は、評価方法の変更が中小企業の事業承継に与える影響について、十分な分析や検討を行うよう意見を示しています。特に、評価額が大きく上昇する場合には、後継者への株式の移転や事業承継に影響する可能性があるため、慎重な検討を求めています。

中小企業・個人事業主への影響

今回の話は、すぐにすべての中小企業の税負担が増えるというものではありません。しかし、会社を次の世代に引き継ぐ予定がある経営者にとっては、今後の動きを知っておく意味があります。

特に重要なのが、「会社の価値」と「自社株の価値」は、経営者が普段考えている以上に事業承継と関係しているという点です。

例えば、長年事業を続けて利益を積み上げてきた会社では、会社の財産や利益の状況によって自社株の評価額が高くなることがあります。株式を後継者へ相続・贈与する場合、その評価額が税負担に関係することがあります。

一方で、会社の規模や業種、財産の状況などによって株式の評価方法は異なります。今回検討されている見直しについても、影響は会社ごとに異なると考える必要があります。

国税庁が公表した試算では、現在の方法と見直し案を比較した場合、評価額が上昇する会社だけでなく、低下する会社もありました。つまり、「非上場株式の評価見直し=すべての中小企業にとって増税」という単純な話ではありません。

また、事業承継を考える際には、自社株だけを見ればよいわけでもありません。会社の財務状況、後継者、株式の保有状況、事業を今後どう続けるのかなど、複数の要素を整理する必要があります。

例えば、後継者が決まっていても、株式が複数の親族に分散している場合には、将来の経営権について考えておく必要があります。反対に、後継者がまだ決まっていない場合には、株式の評価だけでなく、誰にどのように事業を引き継ぐのかという経営そのものを考えることが先になります。

前橋や群馬県内の中小企業でも、創業から長い年月が経過し、経営者の世代交代を考える時期を迎えている会社はあります。今回のニュースは、事業承継をまだ具体的に始めていない経営者にとっても、自社株や会社の財務状況を確認するきっかけになります。

なお、今回の評価方法の見直しは現在も検討中です。今後、制度の内容が決定されれば、実際の影響も変わってくる可能性があります。

相続税や贈与税の具体的な計算、株式の評価方法についての個別の税務判断は、会社の状況によって異なります。税金について詳しいことは税理士にご相談ください。

今のうちに確認しておきたいこと

今回のニュースをきっかけに、事業承継を予定している中小企業の経営者は、まず自社の現状を整理しておくとよいでしょう。

最初に確認したいのは、自社株を誰がどのくらい保有しているかです。経営者だけが保有しているのか、親族や役員など複数の人が保有しているのかを確認します。株主が複数いる場合には、それぞれの保有割合も整理しておきましょう。

次に、会社の財務状況を確認します。現金や預金、土地・建物、設備、借入金など、会社が現在どのような財産を持っているのかを把握することが大切です。

さらに、売上や利益がどのように推移しているのかも確認しておきましょう。過去の数字を並べてみることで、会社の経営状態が現在どうなっているのか、今後どのような変化が考えられるのかを整理しやすくなります。

こうした作業は、事業承継のためだけに必要なものではありません。普段から経営の数字を把握しておけば、設備投資や借入、事業拡大など、さまざまな経営判断にも役立ちます。

また、「まだ事業承継の予定はないから関係ない」と考えず、会社の株式や財務状況を一度確認しておくことも大切です。事業承継は、実際に後継者へ引き継ぐ直前になってから始めるのではなく、時間をかけて準備することで検討できる選択肢が増えます。

今回の非上場株式の評価見直しについては、まだ検討段階です。そのため、現時点で将来の税負担を決めつけるのではなく、今後の国税庁や中小企業庁からの情報を確認しながら、自社の経営状況を整理しておくことが現実的です。([国税庁][4])

前橋市下沖町の株式会社adjustは、経営を数字でサポートする会計財務パートナーとして、記帳代行、経営コンサルティング、補助金・助成金の申請サポート、起業支援、保険代理店、セコム営業代理店、企業マッチングなどを行っています。LINEでの打ち合わせにも対応しています。

事業承継では、税金だけでなく、会社の財務状況や株主構成、今後の経営方針など、さまざまなことを整理する必要があります。まずは自社の数字と現状を把握し、必要に応じて税理士などの専門家にも相談しながら準備を進めることが大切です。

記帳や資金繰り、補助金の申請など、経営の数字のことで気になることがあれば、株式会社adjustにお気軽にご相談ください。

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